証  し

内藤雅有
(2002年9月29日NYJCでの受洗式にて)

   やっとこの日を迎えることが出来ました。感謝します。

   私の神様との出会いはもう45年も前のことです。半年ほどの間の幼稚園、その後、小学校高学年の時の約3年余りの日曜学校からのものでした。その後、本や音楽を通じてイエス様のことを知ることはありましたが、教会に通うといった積極的なものはずっとありませんでした。でも、お願いを中心とした祈りというものはずっと続いていたのかもしれません。

   ニューヨークに移ってしばらくしてから、近所に住んでいらっしゃった谷さんからお誘いを受け、何度か礼拝に出席しました。しかし、最初のうちは、誘われても、慣れない教会用語、例えば名前の下につける「兄弟姉妹」や、「覚える」、「預かる」といった言葉になんとなく馴染めず、あまり来る気がしなかったものです。このころまで、学生時代から約30年近く、ほとんど神様との距離は変わっていなかったのかもしれません。逆に、神様のことをまだそんなに気にしてるのか、という苛立ちのようなものが強くなってきていたとすら言えます。

   しかし、その間も、神様はいつも一緒にいてくださいました。生かしていただいているということはトルコ航空機事故、ロンドン地下鉄火災、ワールドトレードセンター事故からの不思議なほどの回避で否応なくわからされていました。息子の自転車事故による頭蓋骨骨折の時は、やはり祈りました。仕事や生活で大きな決断を求められる時も、家庭内のトラブルでもいつも都合のいい時だけ、自分の願いの時だけ、今までの感謝をまとめて感謝して、その分の守りを期待する。そういう前借、自転車操業的なおつきあいばかりでこれまでやってきました。そして、それでも全て神様は聞き入れてくださいました。

   洗礼の決断も、そう明確な形で出てきたわけではありません。だんだん、体力が衰え、物忘れもひどくなってくる中、もしかして、いざという時に間に合わないのではないか、という不安が大きくなったということが正直なところかもしれません。でも、これも神の導き、ということで、祈り、決断しました。いつかはやらなければいけない一生で一番大事な決断、とは思っていたのですが、なかなかできずにいるうちに、ますます決断を妨げる要因の方が大きくなることが多くなり、このままではだめになる、というような決断でした。

   受洗にあたり、確認する事がらの中に、罪の自覚と十字架の贖いの確信という部分がありますが、ここが難関でした。今まで踏み切れなかったのもずっとこの部分にすっきりしたものがなかったからかと思います。そして、いまでも完全に罪を自覚し、十字架の贖いを感じているかと聞かれると自信がなくなる部分があります。

   罪の自覚については、本当に打ちのめされるような目にあったことがないことからくるのかもしれませんし、そうならないように、自然に事なかれ主義をとり、自分は我慢して、譲って、他人にいいように合わせてきたということから罪悪感が麻痺しているのかもしれません。他人が同じようなことをやっていたら許せないくせに自分もやっているのです。自分勝手、自己中心を衣に包んだ偽善のかたまりであって、最も自分でもきらいなことをやっているのに、それに気が付かないまま毎日を過ごすほどに麻痺してしまっているのです。十字架による罪の贖いということも、よく理解できるのですが、この自分の罪が心底見えていないからか、自分への救いという本当のありがたさがこみ上げてくるところまで行かないのです。

   水による洗礼と聖霊による洗礼の順序がどうかはわかりませんが、聖霊によって罪が見えるようになると聞いています。その時本当に十字架のイエス様の死が私自身の罪を贖って下さるということが実感できるのでしょう。洗礼への決断も聖霊の働きによる、とどこかで読んだような気もします。だとすれば、今が、その与えられた時、なのかも知れません。今までも、一番いいときに、一番いいものが与えられてきた、と、これについては確信しています。

   こんな中途半端な状態で、洗礼を受けることは許されないのかも知れませんが、これまでずっと祈ってきてもたどりつかず、どんどん年を取ってきて、物忘れも激しくなってきており、手遅れになってはいけないと思って、ロング先生にお願いし、このような状態でも洗礼をお許しいただきました。今後、本当の信仰にたどり着くまでまだ時間がかかるかもしれません。ここまででもこんなに時間のかかった頑なな根性は、皆さんのお力もお借りしなければなかなか正しい方向を向きません。どうかお祈りください。

   最後にここまでたどり着くことが出来たことの裏には、多くの方の助けがあったことを本当に感謝します。この日本語教会で既に日本へ帰られた方々はもちろんですが、それ以前から導いてくださった方も多くいらっしゃいます。ひとりひとりをここでご紹介していくわけにいきませんが、今後時間をかけてお礼を申しあげ、その導きを今後の信仰生活に前向きに生かしていきたいと思っています。本当に有難うございました。

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