(2010年8月NYJCでの受洗式にて)

　　私は一年ほど前にニューヨークに駐在員として参りましたが、それまでは生まれて37年間、東京近辺に住んでおりました。実家には簡単な神棚兼仏壇があり、おふだと先祖の写真が飾ってありました。先祖代々の墓は仏教寺院にあり、時折墓参りや寺院への参拝、あるいは神社へ初詣をするといった日本人におそらくもっとも多いタイプの宗教生活を送ってまいりました。逆に言えば、私が日本でキリスト教およびそれに関連する事柄に接した時間は皆無に等しいというのが現状でした。

　　ニューヨークに来てしばらくしてから、私は十戒でも禁じられている大罪の一つを犯しました。このことが妻の知れるところとなりました。妻の悲しみと落胆は量り知れないものでした。そして妻からは離縁を言い渡されました。夫および父親としての役割を放棄したのですから、当然の報いでした。そして私も離縁は免れないという覚悟をしておりました。

　　とはいうものの、どうにかして離縁を免れたいという思いが頭の中にあふれていました。さらには、家族を蔑ろにし、自分の欲望に従うという全く以って自分勝手な思考と行動とを改め、今後家族そして周りの方々に尽くすことができる存在に、何とかして自分自身を変えたいという思いを強く持つに至りました。

　　何とかしたいという藁にもすがるような思いでいた、そんなときにニューヨーク日本語教会のウェブサイトをインターネットで見つけました。自分の罪を打ち明けたい、自分の希望をお話ししたい、そして解決の道を何とか指し示していただきたいというただそれだけの思いから、鈴木譲先生にお電話をし、後日教会にて譲先生にお話を伺っていただきました。

　　それまで聖書を読むことさえほとんどなかった私に対して、譲先生は聖書の基本的な教えを説明してくださいました。その中で私が感銘を受けたのは、次のものでした。

1. 私たちはイエス様を迎え入れる必要があり、信仰によってイエス様を迎え入れます。
2. 私たちはイエス様を迎え入れる時に新たに誕生します。
3. イエス様を迎え入れるとは、まず自己ばかりに向いていた心を神に向き変え（つまり悔い改め）、次に自分の心に来てくださり、すべての罪を赦し、自分を創り変えてくださるイエス様に信頼をおくことです。

　　これらは、私の悩みを抜本的にかつ十分に解決してくれるものでした。自分が犯した大罪について「ごめんなさい、赦してください、もうしません」と悔い改めることで、私の心に来てくださりすべての罪を赦し私を創り変えて下さるイエス様に信頼を置き、私の中心にいらっしゃるイエス様に従うことで、周りの方々の立場に立つ、周りの方々を慮る、そして周りの方々に尽くす生活が実現されるのですから。

　　このような経緯で、神様・イエス様に信頼を置く生活、私のクリスチャンとしての生活が始まりました。それ以来、日々、イエス様が私の罪のため、身代わりに死んでくださったことへの感謝、イエス様を私の人生の導き手としてお迎えしたという誓い、私の罪の全てを赦し、永遠の命を与えてくださったことへのイエス様への感謝、そして私の中心にて私を今後導いていただきたいという願いを少なくとも朝食前・夕食前と就寝前にお祈りする日々が続いております。またあわせて、家族や周りの方々に尽くすにはどのようにすればよいかを神様に指し示していただくようお祈りしております。

　　日々祈り、聖書を読み、譲先生から送っていただいている日課を行い、日曜日にこのニューヨーク日本語教会での礼拝に参加するという信仰生活を始めて3週間余りたったとき、私を家庭に受け入れ、父親としての生活を近い将来再開するために、赦し、迎え入れようとの言葉を妻からいただきました。

　　神様に対して自分が犯した大罪を悔い改め、イエス様を自分の中心にお迎えして、信仰を始め、祈り続けた結果、神様は私にしるしを与えてくださいました。私が心から願っていることが実現する方向へ、状況を180度好転させてくださいました。これにより神様およびイエス様が私のことを受け入れてくださっている、愛してくださっている、私に恵みを下さっていることを私は強く認識いたしました。そして神様およびイエス様にどれだけ感謝をしても足りないほどの感謝をしております。また、今後私自身をイエス様にゆだね、従い続けようという思いを確かなものにいたしました。

　　本日このように洗礼を受けるに際し、自らの信仰を皆様に明確に告白すること、そして神様およびイエス様に仕えるひとつの大きな手段としてニューヨーク日本語教会の会員となり、仕えさせていただくことを明らかにすることは、私にとって晴れがましく、この上ない喜びです。

　　これから私は、神様およびイエス様の思し召しどおりに生活することで、信仰をともにする方々のみならず、信仰が異なる方々に対しても、尽くすことのできる者となりたいと思います。そして、私の行動ならびに体験を通じ、イエス様を自分自身の中心にお迎えし、イエス様に従う生活を送ることが如何に素晴らしいか、つまりイエス様に従う生活を送ることが如何に毎日に充足感をもたらすものであるか、そしてまた如何に義しい道を歩くことができるかを信仰が異なる方々にお伝えし、その方々に一人ずつでもまた少しずつでも神様・イエス様の存在を理解していただくことにより、一人でも多くの方に神様・イエス様が恵みを与えてくださるよう、微力ながら活動していければと考えております。